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博多の陥没事故のテレビ番組を見たよ

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少し前の事件ですけど、
博多の陥没事故に関するテレビ番組をやっていたので、ちょっとまとめておこうと思いました。

なぜかというと、この件に関して検索しても
「よくあの短期間で治した!」
みたいな賛辞の記事が多すぎて、そもそもの本質が埋もれそうだと思ったからです。
とくにYoutubeではこの賛辞が溢れています。

そもそもなんで崩れたの?

原因の発端は地下鉄の工事です。
それは割と知られている事だと思います。

で、その工事が何がまずかったかというと、
トンネルの深さが浅かったから
だそうです。
浅かったために、硬い岩盤の上にある風化した(ボロボロの)岩盤に傷をつけ
更に上にある砂で出来た層から水が流れ込み一気に崩壊した、ということだそうです。
工事業者の中では水穴を一つでも開けてしまえばこうなることは想像ができるそうです。

何故浅かったかというと、深く掘ればそれだけお金がかかってしまうから。
更に言うと、ナトム(NATM)という一番安い工法が採用されています。

簡単に言うと、
採算性を優先して危ない工事をやったから
ということになります。

じゃあ施工業者が悪いんじゃないの?

工事ミスで崩れたんなら、そのゼネコンが全部悪いんじゃないの?
という疑問を持たれると思います。私もそう思いました。

この工事は通常の手続きと同じように入札方式で発注されました。
その入札金額は108億円。
3社が入札を予定していましたが、この金額を聞いて2社が撤退。

理由は「安すぎて採算性を担保できない」から、ということです。

大成建設という会社が108億円で受注しました。
この段階で、一番安いナトム工法でやることは決定しているようです。
この値段で発注しているということは
「ナトムでやれ。更に安くなるならもっと努力せよ」
ということを闇に含んでいます。
安全性を考慮して更に深くすることもできれば回避したいということです。
現に、トンネルの深さを変えないために、トンネルの形を平べったくすることで回避するという合意があるようです。

やはりそれでも工事を請け負いたいと思うほど、景気は良くないのでしょう。
そもそもこの七隈線はそれほど採算性が取れておらず、この工事により延伸してなんとか集積を伸ばしたいと考えていたようです。
安い価格ありき、でした。
工事業者だけに責任を押し付けるのは酷だと思います。
行政としては業者が悪い、としたいようですが。

3つの工法

トンネル工事には大きく分けて3つの工法があるそうです。

開削工法
一度大きな溝をほっておいて作る方法。
もちろん道路は通れなくなるし、お金がかかりそう。

シールド工法
わりかし有名なやつです。トンネル専用の重機(シールド機)が掘りながら壁も作りながらすすめるやつですね。
トンネルの形・大きさが固定であるため、使い勝手はそれほどいいわけではないようです。
リニアモーターカーのトンネルはシールド工法でやるそうです。

ナトム工法
重機で掘り進め、壁を作っていく・・・というある意味力技ですね。
仕組み的にはちょっとシールド工法に似ているような気がしましたが、
掘るのと壁を作るのを同時にはできないため、穴をほっただけの危険な時間が存在する工法だということです。
道路の通行止めも必要ないし、たしかに一番安いというのもうなずけます。

施工比率は
・開削工法・・・158
・シールド・・・128
・ナトム・・・19
と調査件数308件中わずか19件ということだったようです。
あまり使われない工法なんですね。安いのにね。

素早く治したのは確かに評価できるけど

素早くうめたことは確かに一定の評価はできると思います。
しかし、信号機やアスファルトをそのまま埋め込んだという割りと雑な工事です。
どうやらもう一度掘り返す必要があるようですよ・・・。

ポジティブ過ぎるときは注意した方がいい

世間の評価は
・死人がいなくてよかった
・短期間で治してすごかった
ということばかりのようですね。
なんか、強引なポジティブシンキング、に感じます。
ポジティブすぎると感じたときは何か重要なことを有耶無耶にしたいという場合が多い気がします。

物事は冷静に判断したいものですよね。

ちなみに、今のところ賠償金は4億ぐらいとのことです。
108億で受注したことと割りに合っているか?が気になるところですね。

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