交通違反)「上申書で出頭拒否」事件~なんで逮捕?ほとんどの人が知らない事実
交通違反関係の記事はいつも内容が間違ったひどいものが多いのですが、またひどい記事がアップされていました。
こうやってたまに出るのですが、ネット&新聞ででる交通犯罪関係のニュースはほとんど間違いだらけです。
というか記事を書いてる本人がほとんど理解できていない事が多いようです。だからへんてこりんな中途半端な記事になる・・・。
担当者が話している、とありますが、担当者が全てではないですからね!?しかもその担当者とやらの名前も書いてないし・・・
この記事の内容を鵜呑みにすると、単に「警察様の言うとおりにしたほうが良い」となってしまいかねません。それは絶対に間違いです。
(ということは他の記事も全部・・・)
要旨は?
- 嫌疑は「指定速度を38キロ超過」
- 警察は再三出頭を求めた
- しかし、インターネット上で流通している「取り締まりを逃れることができる文書」を県警に郵送して出頭を拒否
で、逮捕されちゃったよ、というものです。
残念ながら、そりゃそうなるよ。。。と言う結果なんです。
取り締まりを逃れることができる文書?
実は上申書自体は駄目な行為というわけではありません。
嫌疑に対して否認する場合には員面調書を取られるのですが、
わざわざ説明するよりも文書を渡してしまったほうが早いから。
そもそも書類を作りたいわけなので、書類を作ってもっていけば、むしろ喜ばれるはずです。
だが、話はそう簡単ではないんですよね。
警察官というのは公務員だから、自分たちで決めたルールを曲げることをとても嫌がります。
本当は員面調書は被疑者の望むとおりに作らなければいけないはずなのに、
- 添付することはできない、
- 添付自体はしても、調書は1から作ると言って聞かない(2度手間だと思うが・・・)
事が多いです。
しかしながら、添付自体はほとんどの場合でしてもらえると思うので、自分の考えをまとめる意味でも上申書を書くことは決して悪いことではありません。
上申書自体を否定しているような記事はとても違和感です。
情報の出どころはどこ?
そもそも、この
「取り締まりを逃れることができる文書を送ればOK」
という情報はどこにあったのだろう?
少し検索してみたが、見当たらなかった。すでに削除されたのでしょうか?
どうやら10年以上前からある話?とのことですが、やはりソースは見つかりませんでした。
ただし、上申書により本当にオービスで不問になった人は、います。
その稀有なケースが、スタンダードな手法だと解釈してしまったのでしょうか??
デマではなく、誤解なのではないか?
これはデマなのではなく、この運転手がしてしまった「誤解」なのでは?とおもいます。
今はネットだといえよほど情報弱者でなければウソとホントは見分けることができますよ。
そして、越権行為だろうがなんだろうが、どうすると逮捕されてしまうのかはちゃんと書かれています。ただし、掲示板ではわかっていない人は未だに多いです。わざとかもしれませんけどね。
はっきり言って、この運転手は情報収集不足です。
つまり「ネット上の情報を信じてしまったために逮捕された」と言う記事になっていますが、
私に言わせれば「ネットの情報をちゃんと調べていれば逮捕などありえない」とおもいます。
ネットの誤報、ではなく、この人は単に調べ方が全然足りていないとおもいます。
多分独りよがりで変に理解してしまい、誰かに質問すらしていないのではないでしょうか?
なぜ逮捕されてしまったのか
持論をいいますと、この逮捕自体は違法だとおもいます。
ただ、慣例的に行われていますし、そこで争っても勝ち目はないんです。いまの日本は法律が正しく運用されていませんし、三件が分立していませんので、悔しい思いをするだけでしょう。
それを踏まえた上で、実際どうして逮捕されたのかをお話します。
不当逮捕?!
出頭しなかったから逮捕、とありますが、そもそもおかしいのです。
刑訴法198条の1項にはこうあります。
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。
但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
出頭を拒んでも良い、とちゃんと書かれています。
よく言われる「任意」というやつです。
なぜ任意なのに・・???
残念ながら、任意という名の強制が多く行われているのが日本警察なのです。
もちろんそういう事が必要な場合もあるでしょう。
明らかに凶暴そうな犯人が目の前にいるときに、任意だから、と言って自由にしたら大変です。
ところが、例えば「一時停止を止まらなかった」みたいなドウデモイイ内容でも強制することがあります。(つまり、逮捕)
明らかにやりすぎだし、市民統制を目指しているのではないかと勘ぐりたくなります。
198条を打ち消す!?条文がある!
ではなぜ、198条があるのに逮捕されてしまうのか?
その理由は199条にあります。
~ただし、30万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条(198条)の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
あれれ?
「出頭の求めに応じない場合に限る」とあります。
これはどういうことかと言うと、「出頭の求めに応じないときは逮捕できる」ということです。
???どういうこと???
198条では「出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。」と書いてあったのに、199条では「出頭の求めに応じないときは逮捕できる」と書いてあります・・・!!
というわけで、逮捕された理由は上申書云々はあまり関係なくて
「出頭の求めを何度も断ったから、199条により逮捕」
ということなのです。
どうすればよかったのか
交通違反で不服を主張したい場合に最も重要になってくるのは、
「警察・検察からの出頭要請には応じる」
と言う部分です。
地域差があるのは非常に納得できませんが、
東京の場合は警察の出頭を拒み続けるとそのまま送検されて検察から呼び出しに移行することがあります。
地方でも出頭さえすれば逮捕されません。
警察官はサインを色々脅し文句を使って強要してきますが、これは拒否しても大丈夫です。
員面調書の録取はどうでもいいことばかり聞いてきて2時間位掛けるのがスタンダードです。嫌がらせですね。逆に言えばこの程度の嫌がらせしかできないのです。
2時間もかかりますが、これも途中で帰って構いません。
ただ、また呼び出されればいけば大丈夫です。とにかく拒否しないことです。
拒否と言っても「その日は無理だけどこの日なら」といえば拒否にはなりません。
土日曜日を指定するのもいいですね。
(交通課は休みなので非常に嫌がる。でも緊急性があるとして逮捕権まで使うくせに土曜日曜休むなんて矛盾していますね・・・。だからそこをつくのです)
とにかく出頭を拒否しなければ、全く喋らず黙秘していても逮捕することができません。
その根拠こそが198条と199条なのです。
さらに、もう一歩進んで、「出頭は難しいが家に来てもらって在宅で話を聞くことができる」とするのもいいです。目的は「調書録取」なのですから、警察署でなければならないという法律はありません。おそらく交通違反程度では100%できないと言ってくると思いますが、その言質をとっておけば逮捕はかなりしにくくなると思われます。
なぜなら逮捕要件は「証拠隠滅」「逃亡の危機」だからです。家に来てくれと言われていかなかったのは警察官なので、これには当たらないということです。
もちろんそれでも逮捕してくる可能性は高いですが、録音をもとに大暴れすることができるかもしれません。
まとめ
交通違反で否認する場合
出頭を数回拒否すると刑訴法199条により逮捕される。
しかし、出頭さえしてしまえば、逮捕はできない。書類へのサインなど一切しなくていい。
ということです。
ディスカッション
コメント一覧
再三出頭要請があった
⇒198条では出頭を拒むことができる。
⇒出頭を拒んだ。
⇒拒んだので199条にもとづき逮捕した。
38kmの超過だと6~10万の罰金ですので、199条の「~、当分の間、2万円」もクリアしています。
「持論をいいますと、この逮捕自体は違法だとおもいます。」⇒合法ですよね。
「ネットのデマを信じてもダメだよという見せしめの逮捕だから違法だ」という意味であれば、
それは「違法」ではなく「不当」だと思います。
コメントありがとうございます。
確かに不当のほうが適当でしたね。
ご指摘ありがとうございます。修正いたします。